あいの風プロムナードは、怖い & 富山市と高岡市の路面電車どっちも乗る
『全ての都道府県を訪れる』
というのは人生のシルバートロフィーのひとつだ。
私はこれを30歳までに達成したいと考えている。
残り1年、未訪問都道府県は7。
……ちょっと無理な気はするが、諦めてはいない。
ちなみに今の経県値はこんなだ。↓
(経県値について詳しくは↓)
旅行って、いざ休みになると出掛けるのがダルくなりがちなんだけど、こういう目標があると「しょうがねえなぁ」の気持ちで腰が上がるんだよな。
というわけで、今回は富山県を訪問することにしました。
富山探訪が予想よりめちゃめちゃ楽めたので、それを記事にしていきます。
さて、富山といえば、2020年に富山駅南北の路面電車軌道が接続し、路面電車が駅を貫通するようになったらしい。
そうだ、両方乗ってみよう。
目的は決まった。次は行程を考える段階だが、地図を見て、以下の2案が浮かんだ。
ここはスマートな②案を採用。なぜならスマートなので。
途中の徒歩パートが結構長そうで不安だが、散歩は好きだし、海沿いで楽しそうなので大丈夫だろう。
1. 富山駅~南富山駅 (1日目)
旅程が立ったので、いよいよ出発。
超早起きすれば一日でこなせるスケジュールだが、休みはあるので、WBCで日本が優勝するところをしっかり見届けてから新幹線へ乗る。
富山駅へ到着したのは17時頃。南富山付近のネットカフェに泊まることにしたので、軽く駅周辺をブラついて早めに寝る。
富山に旅行した人はみんな同じことを言うのだけれど、市街地からでも遠くに聳える飛騨山脈が、神々しさを感じさせて良い。
それと、道路のアスファルトがところどころ赤錆びていて、なにかと思って調べてみると、消雪パイプという道路に水を噴射する装置の内部の錆が出てきちゃってるんだそう。これも雪国たる富山らしさかなと思う。
2. 富山軌道~富山新港 (2日目)
2日目、目的を果たすため朝早くに出発。
南端の南富山駅から北端の岩瀬浜駅へ直通する車両が1時間に1本あるので、それに乗り込む。
途中の蓮町駅で下車し、徒歩で高岡の万葉線を目指す。
岩瀬浜駅まで行きたかったが、歩く距離を減らしたかったため断念。
日本海を見ながら朝飯を貪り食っていたとき、左手をバシっと叩かれた。
なんだぁ!? と思い見上げると、トンビだった。
運良く盗られはしなかったものの、なるほど、俺は格好の餌食だったようだ。
大声で威嚇したが逃げる様子もない。舐められている。
左手には確かな痛み。
仕方がないので、安全な場所に移動して飯の残りを食べた。
そうして海沿いを進むと、視界が開け、今回の徒歩パートの目的地である富山新港の橋が見えた。
あそこまで歩いていかねばならないのだ。3時間歩くとはこういうことなのだ。
なまじゴールが見えてしまったばかりに、しんどさが募る。
さあ、一歩一歩進んで行こう。ラジオを聞きながら。投棄されたボートを流木で叩きながら。
ここまで10kmくらい歩いてきてようやく気付いたが、この辺りには射水線という電車が走っていたのだ。廃線があるということは、バスがある……。さっきバス停あったな……。
気にしないことにする。
3. 新湊大橋 (あいの風プロムナード)
めちゃめちゃ歩いた。
途中、ベンチで休憩したり公園のドックランで犬を冷やかしたり漏れそうになりながら、ようやく目的地付近まで来た。
いいか少年、田舎の公衆トイレを信用してはいけないぞ。全部詰まってるから。
少し内陸側を歩いてきたので、一度海沿いへ戻って目的地の橋を見てみる。
ここまでで既に足が痛く、この海浜公園でもベンチで横になって20分くらい休憩した。
それなのにあの橋、もはや山と言ってもいいが、あれを踰越するのは無理だ。
橋は登るのではなく、根本にあるプロムナードを目指すことにする。
特に調べてないので実態は分からないが、Googleマップと私の経験を信じて進む。
進んでいきます。
www.youtube.com動画は音が出ます。
脇は全部窓なのだが、かなり傾斜がついている上にホコリが溜まっていて、ほとんど外の様子が見えない。
床も坂になっていて、平衡感覚が掴みづらい。
斜張橋であるが、風が吹くとかすかに揺れる。
車の音が響く。
www.youtube.com動画は音が出ます。
中央部からは周りがよく見える。
平日の昼下がり、曇ったガラス越しの光は薄暗く通路を照らす。
誰もいない。
動くものは何も見えない。
動画では元気にピースしているが、この時、私の心には じわり と負の感情が浮き上がってきた。
情けないことだが、怖くなってしまったのだ。
高さや揺れからくるものでは無い。
リミナルスペースに、一人きりでいるときに浮かぶ恐怖だ。
地下道や細いトンネルで無機物に囲まれた時に、近くに誰もいない時に、この世界に一人きりになってしまったかのような孤独。
The Backroomsの微かな恐怖。
疲れもあるのだろう。だが、今は一刻も早くここから離れたい。
急いで先へ向かう。
先の見えぬ設計に腹を立てる。
冷や汗がにじむ。
ようやく越ノ潟側のエレベータホールに辿り着く。
ここは通路より明るく、広く、床面も平らで揺れないため幾らか安心感がある。
地面に着いてみると、あいの風プロムナードへの怒りが湧いてくる。
この俺を恐怖に陥れやがって。
海沿いの空中歩廊、それも観光を視野に設計されただろうにもかかわらず、全く爽快感が無かった。しかも怖い。それもこれも通路の窓から景色が望めないことが原因だ。
窓を拭け。いや、構造的に不可能か。構造が悪い。悪い建物だ。
4. 越ノ潟駅~高岡駅
ここからは万葉線という高岡市の路面電車に乗って高岡を観光する。
が、もう足も痛いし疲れたので早く帰りたい。写真も少なめです。
万葉線は、富山軌道とは違って現金のみの上乗車区間によって運賃が変わる。
知らない路線に乗る時の緊張感がほどほどにあって良い。富山軌道は便利すぎ。
2駅先の東新湊駅で下車し、"きっときと市場"という観光者用土産屋へ寄る。
2駅くらい歩けよとも思うが、本当に足に限界が訪れていた。
ここに寄ったのは、土産として「さすの昆布〆」を購入するためだ。
さす、というのはカジキマグロのこと。
要はマグロの刺し身に昆布を巻いたものだ。
過去に何らかの情報からこの料理を知り、スマホメモの"食べたいものリスト"に入っていたのだ。思い出して良かった。
食べてみた感想としては、普通のマグロ刺身の評価を10とするなら、さすの昆布〆は10.1くらいの美味さだった。確かに美味さは足されているが、違いはささやかなものだと感じた。
さすの昆布〆。(画像は https://shop.okudaya.net/collections/kobujime より)
その後、再び万葉線に乗って今度は広小路駅で下車、氷見うどん美濃屋で昼飯。
ご当地うどんってのはどこにでもあるもので、旅をするときの目的にしやすい。
富山におけるそれは氷見うどん、本当は氷見市で食べられるものだが、偶々高岡にお店があったので寄ってみた。
だしは色が薄く、関西のうどんに近い。特徴的なのは麺で、手打ちでなく手延べで作られていて太さにばらつきがありコシがかなり少ない。一本一本すするのではなく、まとめてガバっと頬張りもちゃもちゃ喰らうのがうまい。おすすめです。
うどんを食べたらその足で観光、高岡古城公園へ。
動物園が併設されているが、マジで足に余裕が無いので無視。公園内をサッと撫でるように回り、すぐ出る。
その後は高岡大仏へ。
大仏は台座の内部に絵画や像が展示されている。
足にダメージを負っていても10分で回れて良い。
というところで、高岡駅まで歩いて今回の旅はフィニッシュ。
目的である路面電車は乗れたが、それよりも、あいの風プロムナード(悪)、連峰の見える街並み、そして富山県民の昆布への愛が印象に残った。
たった1泊2日だったが、富山がどういう所か分かった気がする。好きだな。富山。
富山に行った人、行ったことがない人も、君の富山感を聞かせて……くれよな!(終)
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富山旅行のレポートをブログに投稿しました。
— にいとちょ (@neetcho) 2023年4月29日
絵も描きました。見てね。 #はてなブログ
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